三遊亭 司の「日日是遊有」

第十三回「笑門来福」

ひと月を10日毎上中下と分けて興行を打つ寄席演芸界もお正月は特別。上席を初席、中席を二之席と呼ぶ顔見世興行となる。

顔見世となると、短い出演時間に芸人が入れ替わり立ち替わり。なんせ、落語協会だけでも300人超の大所帯。
初席は上野鈴本と浅草演芸ホールが落語協会の顔見世だ。

初席の楽屋は出演者も出演のない二ツ目も紋付袴で楽屋入り。

芸人もお客さんもお屠蘇気分で初笑いなんてお正月もどうだろう。

 

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カテゴリ三遊亭司の「日日是遊有」 | 2013. 01. 05. 11:03 |

第十二回「正月風景」

歌にうたい、指折り数えたあの頃のようにとはいかないが、あらたまの春とはよく言ったものでやはり正月は特別だ。
たしか、今年最初のコラムは『手拭とお年玉』だったハズ。最後も落語家の正月風景で〆たいと思う。

普段、駄々らな生活をおくっているため、さぞ気怠い元日を迎えるだろうと思いの外、落語家の元朝は早い。

おろした肌着に、黒紋付羽織袴をつけて麹町の大師匠圓歌宅に一門が勢ぞろいする姿は壮観だ。
大ししょうから念頭の挨拶とお年玉をいただき、そこから出番のある初席に出かけてゆくのだが、元日の寄席ばかりは出演者も少々お屠蘇気分…の、ことも?ある。
客席も高座も楽屋内も晴着姿で実に華やか。

初春の風に眠気を覚まされながらも、まだまだ日本の正月風景がのこることに嬉しくなる。

こうして、また落語家としての一年がはじまってゆく。

 

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カテゴリ三遊亭司の「日日是遊有」 | 2012. 12. 01. 16:51 |

第十一回目「酉の市」

熊手暦をひらくと、今年の11月の酉の日は一の酉が8日で二の酉が20日。俗に火事が多いと言われる三の酉ではなく、二の酉までと安穏だ。

江戸東京の酉の市といえば浅草田圃の鷲在山長國寺と鷲神社が一番の賑わいをみせる。真隣にある不夜城吉原がその賑わいを助けたのは言うまでもない。

この酉の市。前日の申から酉の日になる真夜中時分の雰囲気が断然にいい。
福を掻き込む縁起熊手が境内を華やかに彩り、熊手を買った者に送られる威勢のいい手〆の音がシャンシャンシャンと実に景気がいい。
江戸っ子たちはこの声を背にして吉原へくりこんだのだろう、昼間のように明るい境内は、まさにそんな雰囲気だ。

三の酉といえば、そんな日が月に三べんもある。さすれば留守宅の長屋のカミさん連中も黙っちゃいまい。
「三の酉まである年は火事が多い」
ぐらいのことも、そりゃあ言いたくもなるであろう。

 

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カテゴリ三遊亭司の「日日是遊有」 | 2012. 11. 02. 13:06 |

第十回目「泳ぎ姿。」

食欲の秋。
昨晩も秋刀魚を焼きながら、亡き師匠の言葉を思いだしていた。
魚は泳いでいる姿のように焼け

弟子入りして間もなく、当時の師匠桂三木助にそう言われた。
当時十八歳のわたしは「はぁ、そういうものなのか」と思いこそしたが、じゃあ切り身はどうするんだろう?と、思うほどの余裕はなかった。なくてよかった。あったら、ひとつ余計に頭をはたかれただけだ。

師匠三木助は独身で台所周りも修行の範囲内。
朝は掃除しながら朝食の献立づくりにアタマを悩ませた。
なにしろ、やることみなはじめて、だ。魚すら上手く焼けない。
そんな、わたしをみて

俺とお前の分、二尾魚を焼いて、お前ので焼き具合をみればいい。
と、言われた。素直にそうした。
これもまた「なるほど、そういうものか」である。言われるままにそう思っていた。
後日、楽屋でとある先輩に

「師匠怒ってたぞ。あいつはおれとおんなじ魚を食べてやがる」
と、聞くまでは。

 

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カテゴリ三遊亭司の「日日是遊有」 | 2012. 09. 29. 23:00 |

第九回目「五十の着物に百の帯」

帯着物、和服にはなにかと小物がつきもので、そこに気をつかうのが江戸っ子の粋だろう。

羽織紐しかり、帯しかり。
五十の着物に百の帯というぐらいで。

等々力渓谷この夏、浴衣でも着ようなんて思ったとき、難関になったのがその帯ではないだろうか?

いまでこそ、腰のハスんところで、ツノをピンとさせ角帯を締めてるものの、先輩に笑われ、直されしながら、前座の三年間毎日着ているうちに、前で締めていたのが、キュッと後ろで締められるようになった。

このキュッという音も、目の詰まった正絹の博多帯の特徴。江戸時代、毎年福岡黒田藩が幕府に献上していたもので、いまだにその名も『献上』と呼び、浅草の『帯源』で扱う献上の博多帯はわれわれにとってひとつのステータス。

その献上の帯にふさわしく、後ろでキュッっとしめられるようになったこ ろ、前座もそろそろ二ツ目にあがれる、と、そういうわけだ。

 

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カテゴリ三遊亭司の「日日是遊有」 | 2012. 09. 05. 12:25 |
三遊亭 司のプロフィール
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