三遊亭 司の「日日是遊有」

第六回目「東京のまん真ん中で、富士登山」

渋谷区千駄ケ谷1 週末を利用して海外にだって行けるいまと違って、旅行が「旅行」でなく「旅」であった時代、それは庶民の憧れであり、また命がけでもあった。
だいいち、無闇矢鱈に旅に行くことなんざ出来なかったわけで、そこで旅の目的は伊勢へ、大山へ、江の島へ、信心を目的としたお詣りということになる。
とりわけて、人気を集めたのが、富士詣り。地名にも残るように、江戸のいたるところから眺めることができた富士山に登ってみたい、というのは人情だろう。
講という集まりを作り、その講中でお詣りへ、となるのだが、そう大勢で易々と旅に出られるものではない。
が、そんなところでへこたれる江戸っ子ではない。

台東区下谷2 登れないなら作ってしまおう!
と、江戸のいたるところにできたのが、富士山の熔岩を使い、富士山に模して作った『富士塚』だ。
7月1日の山開にあわせて、白木綿の装束を来て、お山と同様「六根清浄」と唱えて登る。
千駄ケ谷富士と呼ばれた里宮まで祀られた鳩森八幡(写真上=渋谷区千駄ケ谷1)の富士塚の険しい?山道を「六根清浄」と登ってゆくのはなかなかに愉しい。

続いて小野照崎神社(写真中=台東区下谷2)にあった富士塚には二合目、三合目と石標がたっており、これまた気分がでる。
豊島区高松2圧巻だったのは住宅街にどっーんとある豊島長崎富士(写真下=豊島区高松2)。国の重要文化財であり、その規模もまた随一。大きな石碑が沢山に建立されているのだが、惜しむらくは今回訪れたなかでは鳩ケ森八幡の富士塚以外は登ることができない。

こんな立派な富士塚があったら、やっぱり登りたい。
なぜって、そこに山があるからさ。

 

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カテゴリ三遊亭司の「日日是遊有」 | 2012. 06. 04. 14:16 |
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