今月の特集

名探偵の背中を追うように歩く。-〔九月〕北区西ヶ原?王子

「金沢殺人事件」の舞台ともなった「平塚神社」 内田康夫氏の小説で活躍する名探偵・浅見光彦が闊歩するこの界隈は、かつての東京の面影が残る落ち着きを見せる。「金沢殺人事件」の舞台ともなった「平塚神社」は京浜東北線「上中里」駅近く。八幡太郎源義家を祀る社に向かう両側のケヤキ並木の緑も濃く、静かな境内は時の流れをゆっくりと変える。「平塚」の名は、義家から授かった鎧を領主が埋めて築いた塚が平らだったことから名付けられたのだとか。

 

 この神社の脇には、浅見の母も好み浅見自身もしばしば串団子を買っていた趣ある老舗の和菓子店がある。そこから「王子」駅方面に本郷通りを500mほど歩くと右手に見えてくるのが「滝野川警察署」だ。1923(大正12)年に設立された歴史をもち、「佐渡伝説殺人事件」では、浅見が容疑者として連行されてしまう場所でもある。

 

 そんな物語を浮かべながらさらに歩を進めれば、視界に「飛鳥山公園」が入る。八代将軍徳川吉宗の頃から桜の名所として名を馳せるが、夏の涼、秋の紅葉、冬の雪景色と四季を通じて美しさは格別だ。浅見の住まいはこの公園近くの西ヶ原にあると聞くが、心穏やかに暮らせそうなこの地の雰囲気に浅見の人柄が偲ばれる気がした。

 

 探偵の 噂と蕎麦が 似合う秋

滝野川警察署

 

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カテゴリ今月の特集 | 2011. 09. 07. 14:27 |